ⓔコラム14-3-5 コロンビア分類 (Columbia classification)
一言でFSGSといっても,その病変は多彩であり,疾患概念にも混乱を生じたことから,FSGSを確実に診断し,その病変を分類する共通基準を設ける目的で,コロンビア分類が提唱された1).この分類では,それぞれ特異的な分節性病変により表1に示すような亜型に分類される.
古典的FSGSとして知られている非特異型亜型 (not otherwise specified: NOS),血管極部の硝子化または硬化を認め,おもに糸球体肥大や過剰濾過に引き続き二次性に生じるとされる門部周囲型亜型 (perihilar variant),管内細胞増加を伴う細胞型亜型 (cellular variant),尿細管極周囲の分節性硬化像を特徴とし,治療反応性が比較的よい糸球体尖亜型 (tip variant),糸球体係蹄 (けいてい) の虚脱に加え,ポドサイトの肥大と過形成を認める虚脱型亜型 (collapsing variant) の5種類があり,図1のような手順によって診断される.
この形態学的分類は臨床的因子や経過とも関連すると考えられてきた.例えば,collapsing variantは人種 (アフリカ系) やヒト免疫不全ウイルス (human immunodeficiency virus: HIV) 感染との関連が示され,治療抵抗性で最も予後不良である.一方,tip variantにはステロイドへの反応性が良好な症例が多く,腎予後が最も良好であると考えられている.しかし,それ以外の亜型については報告が少なく,またこれまでの検討ではうしろ向き研究が主体であってさまざまな交絡因子の存在が懸念されることから,慎重な解釈が必要である.また,図1に示すような手順で亜型は1つに決まるものの,実際の病理組織では同一の症例に複数の病変が混在することも多く2),また時間経過によって変化することも示されているため,注意が必要である.
〔和田健彦〕
■文献
D’Agati VD, Fogo AB, et al: Pathologic classification of focal segmental glomerulosclerosis: a working proposal. Am J Kidney Dis, 2004; 43: 368–382.
Taneda S, Honda K, et al: Podocyte and endothelial injury in focal segmental glomerulosclerosis: an ultrastructual analysis. Virchows Arch, 2015; 467: 449–458.